2020-08-11 UPDATE
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海野雫
33歳女性
瀬戸内のある島(レモン島)にあるホスピス
クリスマスから春先までの物語
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雫さんの、病気や死に至るまでのことは直接的にはあまり表現されません。瀬戸内の穏やかな暮らしと、関わる人たちとの関係、ふわっとファンタジー的な要素もあり読ませます。
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○蘇(牛乳を煮詰めた日本古来の菓子)
○豆花(豆乳で作った台湾菓子)
○カヌレ
○アップルパイ
○牡丹餅
○ミルクレープ
○レーズンサンド
ホスピス“ライオンの家"で、毎週日曜日おやつの時間に出された"おやつ"です。
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帯には「人生最後に食べたい“おやつ“はなんですか?」
思い出、希望、後悔、それぞれの物語、ファンタジー要素もたっぷり含みながら、温かで優しい気持ちに包まれていきます。
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本屋大賞2位。本屋大賞好みといえばそうなんですが、確かにその通りだと思います。巣篭もりのこのお盆期間、優しい気持ちになる絶好の読み物です。
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おやつの美味しい記述もいいのですが、瀬戸内の情景描写も素敵なんです。例えば、
いつの間にか眠っていたのかもしれない。目を開けると、相変わらず、窓の向こうに海がとびきりの笑顔で輝いている。そして、レモンの葉っぱも、キラキラと漣のように輝いている。空気には、ほんのりと、柑橘系の香りが紛れている。
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もちろん、ターミナルケアに役立つ本としても秀逸です。それよりも、死を意識させずに"死生観"を描ききった著者の筆力に脱帽です。
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